大理石のメンテナンス、どれくらいの頻度で行うべき?

ホテルやオフィスビル、商業施設の床や壁面によく使われる大理石。
高級感のある見た目が魅力ですが、傷つきやすく汚れも目立ちやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません

本記事では、大理石の状態を美しく保つための最適なメンテナンス頻度や方法について解説します。

大理石はデリケートな素材

大理石は、その上品な光沢と風格のある模様から、高級ホテルのロビーやオフィスビルのエントランス、商業施設のフロアなどに多く採用されています。
しかしその一方で、大理石は非常にデリケートな性質を持つ素材であり、適切な管理が行われない場合、美観や機能性を大きく損なう恐れがあります

吸水性が高く、汚れが浸透しやすい

大理石は石灰岩を主成分とする天然石で、多孔質という特性があります。これは、目に見えない無数の細かい穴が空いており、そこに水分や汚れが染み込みやすいということを意味します。

たとえば、飲食店や施設の共用部で使用されている場合、以下のようなものがシミの原因となります:

  • 飲み物のこぼれ(コーヒー・ワインなど)
  • 油汚れ
  • 清掃用の洗剤(中性でない場合)

これらの液体が浸透すると内部から変色し、通常の清掃では落とせなくなるケースも少なくありません。

傷がつきやすく、光沢が失われやすい

大理石は、硬度が比較的低い石材です(モース硬度で約3〜4)。そのため、

  • 靴底の砂やゴミ
  • キャスター付きの什器や清掃機器
  • 重量物の引きずり

といった日常的な動きでも、小さな傷が蓄積し、徐々に表面のツヤが失われていきます

特に、オフィスや商業施設のように不特定多数の人が頻繁に出入りする空間では、日々の摩耗によって、目に見えないレベルで劣化が進行していることがほとんどです。

酸やアルカリに弱く、薬剤選定にも注意が必要

大理石は酸性の物質に非常に弱いという特徴があります。
たとえば、レモン汁や酢などの酸性液体が付着すると、表面が化学反応を起こし、光沢が消失したり、白く変色するエッチング現象が発生します。

同様に、清掃の際に使われるアルカリ性の洗剤や漂白剤なども、表面を劣化させてしまう可能性があります。
このため、大理石には石材専用の中性洗剤の使用が推奨されます

このように、大理石は美しさの維持に高い専門性が求められる素材です。
特に法人施設では、見た目の美しさ=ブランドイメージにも直結しますので、日常清掃に加えた定期的なプロによる研磨や保護処理が不可欠です。

日常メンテナンスの頻度と方法

大理石の美しさを長期間維持するためには、日常的なメンテナンスの積み重ねが非常に重要です。
ここでは、オフィスビルや商業施設、宿泊施設などで実施すべき基本的なメンテナンス方法とその頻度について、具体的に解説します。

1. 乾拭き・掃除機がけ(毎日)

大理石表面に砂やホコリが蓄積すると、微細な粒子が研磨剤のように働き、光沢面に細かい傷をつける原因となります。

そのため、以下の対応が推奨されます:

  • 営業開始前または閉店後の毎日1回、モップまたは掃除機での除塵を徹底する
  • 可能であれば、日中にも1回、中間清掃を行うことで傷の蓄積を防止
  • 掃除機はゴム製キャスター付きで吸引力の高いものを選定し、金属部分が床に接触しない構造のものが望ましい

乾拭きには化学モップや静電モップを使用すると効率が良く、目に見えないホコリの除去にも効果的です。

2. 水拭き(週1〜2回)

乾拭きだけでは取り切れない皮脂汚れや油分などの汚れには、定期的な水拭きが必要です。

ただし、大理石は水分を吸収しやすいため、以下の点に注意してください:

  • 使用するのは中性洗剤を薄めた水(石材専用が理想)
  • 洗剤拭きの後は、水拭きで洗剤成分を完全に除去し、乾拭きで仕上げる
  • モップは十分に絞ってから使用し、濡れすぎに注意

アルカリ性・酸性の洗剤(漂白剤、カビ取り剤など)を誤って使用すると、表面が白濁したり光沢が失われるため、必ず「石材対応」と明記された製品を使用しましょう。

3. ワックス・保護剤の塗布(年1回〜)

大理石のツヤを維持し、汚れや摩耗から守るためには、専用の石材用ワックスや保護剤の定期塗布も効果的です。

  • 年に1回程度、ワックスや浸透型保護剤を塗布することで、耐久性が向上
  • 塗布作業は専門業者への依頼が望ましく、施工時に表面洗浄や軽研磨をセットで行うとより効果的

特に飲食店や商業施設などの高頻度使用エリアでは、年2回の施工が推奨されるケースもあります。

メンテナンスの重要ポイントまとめ

項目内容頻度
乾拭き・除塵モップ・掃除機で砂やホコリを除去毎日1〜2回
水拭き中性洗剤を薄めて、表面の皮脂や油分汚れを除去週1〜2回
ワックス塗布石材保護剤でコーティングし、摩耗と汚れを予防年1回〜2回

補足:施設管理者様向けアドバイス

  • 出入口マットを設置して砂やゴミの侵入を抑えるだけでも、傷の進行を大きく軽減できます。
  • 定期清掃業者様への指示書に「大理石箇所は中性洗剤使用」「水拭き後は乾拭き仕上げ」と記載しておくと事故防止につながります。
  • 万が一、酸性の洗剤や漂白剤をこぼした際は、すぐに水で洗い流し、専門業者に相談することで修復できる場合があります。

プロによる研磨・再仕上げの適切な頻度

使用頻度や設置環境によって異なりますが、以下が目安です。

使用環境専門業者による研磨の目安
商業施設・オフィス(人通り多)年1回〜2年に1回
ホテルロビー・高級飲食店年1回以上
住宅や低頻度エリア3〜5年に1回

表面のツヤがなくなったり、小傷が増えてきたら研磨のタイミングです。

大理石研磨の種類と役割

大理石の美観と耐久性を長期間保つには、適切な研磨方法を選ぶことが重要です。
大理石研磨には目的や使用状況に応じた複数の工程・技法があり、それぞれが異なる役割を担っています。
ここでは、法人施設で採用されることの多い代表的な研磨方法とその効果について詳しく解説します。

1. 荒掛け(あらがけ)研磨|傷・凹凸の除去

目的:深いキズや凹凸の除去、表面の均一化

荒掛け研磨は、粒度の粗いダイヤモンド砥石を用いて、表面の凹凸や深いキズ、シミなどを取り除く初期工程です。

この段階では、

  • 建築時に発生した施工跡
  • 重機などによる擦り傷
  • 長年の摩耗による段差

などをミリ単位で修正し、全体のフラットさを整えます。

⮕ 商業施設の通路やオフィスのエントランスなど、歩行頻度が高い場所で劣化が進んだ箇所に特に有効です。


2. 中仕上げ研磨|光沢の下地づくり

目的:細かい傷の除去、表面の平滑化

中仕上げでは、中目〜細目の砥石を使用し、荒掛けで生じた微細なキズを取り除きながら滑らかな面に仕上げていきます

この工程により、

  • 表面の光沢感が徐々に戻り
  • 汚れが付きにくい状態に近づく

など、最終仕上げに向けた“下地づくり”として重要な役割を果たします。


3. 鏡面仕上げ研磨|美観の最大化

目的:大理石本来のツヤと反射を引き出す

最終仕上げとして行われるのが鏡面研磨です。
粒度の極めて細かいダイヤ砥石または専用パッドを使用し、表面を鏡のように磨き上げる工程です。

この仕上げによって、

  • ツヤが最大限に引き出され
  • 光が美しく反射し、高級感が強調
  • 汚れや水分が付きにくくなる

といった効果が得られます。
オフィスの受付エリアやホテルロビーなど、見た目の印象が重視される場所では特に推奨されます。


4. バフ仕上げ(光沢維持用)|日常管理と併用

目的:既存のツヤの回復、簡易メンテナンス

光沢が残っている状態であれば、**バフ仕上げ(再研磨なしの表面磨き)**によってツヤ感をある程度回復させることも可能です。

  • 定期清掃と組み合わせて実施することでコストを抑えながら見た目を維持
  • 鏡面研磨ほどではないが、汚れやくもりの除去に効果あり
  • 1㎡あたり1,000円〜程度で依頼できる場合も多く、手軽な選択肢

ただし、既に摩耗が進んだり、キズが深い場合には効果が限定的ですので、状態の見極めが重要です。


5. 研磨後の保護処理|仕上がりを長持ちさせる

研磨後には、防汚・撥水効果のある浸透性保護剤を塗布することが一般的です。

  • 水分や油分の吸収を防ぐ
  • シミ・変色の予防
  • メンテナンス性の向上

といった効果があり、研磨の仕上がりをより長期間維持できます。

特に、食品を扱う商業施設や人の出入りが多い場所では必須の処理です。


まとめ:目的に応じた研磨工程の選定が重要

工程主な目的対応ケース例
荒掛け研磨キズ・段差の除去経年劣化の大理石、汚れのひどい床面
中仕上げ研磨滑らかな表面づくり新築後の仕上げ調整、中間リフレッシュ
鏡面仕上げ研磨高級感・光沢の最大化受付・ロビーなどの印象重視の場所
バフ仕上げツヤの簡易回復・維持軽度のくもりや汚れへの対応
保護剤塗布撥水・防汚・保護機能の追加汚れやシミを予防したいすべての施設

必要な工程は床面の状態・利用頻度・予算によって異なります。
弊社StoneGlass研磨サービスでは、現地調査の上で最適な研磨プランをご提案しておりますので、お気軽にご相談ください。

頻度を減らすための工夫

日常的な対策で、専門メンテナンスの回数を減らすことも可能です。

ポイント

  • 出入口に泥落としマットを設置して砂を持ち込ませない
  • 台車・キャスター付き家具の使用を制限
  • 定期的に状態チェックと軽清掃を行う
  • 年に一度、専門業者による簡易チェックと相談を受ける

まとめ:日常+定期的な専門研磨が理想的な維持方法

大理石は美しさを保つほど資産価値が高まる素材です。
そのためには、日々の清掃+数年に一度の研磨施工が効果的です。

StoneGlass研磨サービスでは、

  • 無料の現地診断
  • ご予算に応じたプランのご提案
  • 定期契約でのコストダウン提案

なども行っています。定期的なチェックを検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。